ケージの床面は網目状のため、乱暴に引きずり出した際、爪や肉球を怪我するリスクや犬の首を掴み持ち上げる行為は頸椎損傷のリスクが考えられます。従業員のこのような犬の扱い方は、犬にとって苦痛を伴うことは明白です。また、使用されているワイヤーケージは、床面がメッシュ状となっていて四肢に負担がかかることから長期保管には適してはいません。
このような状況証拠があるにもかかわらず、指導監督責任を持つ県が「動物虐待はなかった」という認識でした。今後の監督業務がしっかりと実施されるのか不安に感じます。適切な指導は行政が問題をしっかりと把握することからはじまるのだと考えています。まずは、問題をしっかりと分析し、現状から少しでも改善したら良いということではなく、虐待のない状態・適切な飼養管理が実施され継続できる状態を目標に据えた改善指導していただけたらと切に願っています。こういった不適切な飼養管理及び虐待への対応は各自治体によってばらつきがあり、現行法が効果的に運用されていないように感じることが多々あります。
今回のような悪質な動物取扱業者は氷山の一角です。こういった業者や管轄の自治体の対応を責めるだけでは、現状を変えることはできません。
運用されない原因をしっかりと考察し、適切な対策を取っていく必要があると考えています。
自治体では常に人員不足や業務過多の問題はあるかとは思いますが、その他、現場に入った自治体職員が判断困らない様な飼養環境の具体的な基準を設けたり、判断に困った時は、獣医学的および法律的な見地から補助するような専門的相談機関の設置が必要であると考えます。